改正公選法:18歳選挙権が成立 16年参院選から
毎日新聞 2015年06月17日 10時53分(最終更新 06月17日 18時59分)
選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が17日午前、参院本会議で全会一致で可決、成立した。国政選挙では来年夏の参院選(2016年7月25日任期満了)から、18、19歳も投票できるようになる見通しだ。1945年に「25歳以上」から「20歳以上」に引き下げられて以来、70年ぶりの改定となる。若者の政治参加の拡大につなげるためには、学校現場などを通じた「主権者教育」の充実が鍵を握りそうだ。【前田洋平、樋口淳也】
改正法により、約240万人の18、19歳が新たに有権者となり、全有権者の2%強を占める見通しだ。施行後初の国政選挙が最初の適用対象となり、その後に地方の首長・議員選挙にも順次適用される。最高裁裁判官の国民審査投票資格も付与される。
また、改正法で18歳以上の選挙運動も解禁される。選挙違反については、買収など連座制の対象になるような重大な違反の場合、家庭裁判所が原則として検察官送致(逆送)し、成人と同じ刑事手続きで処罰されることになる。
国会審議では被選挙権の引き下げを求める声もあったが、今回は現行の「25歳以上」(参院議員と知事は「30歳以上」)が維持される。20歳が区切りとなる民法の成人年齢や少年法の適用年齢の引き下げについても、付則で「検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」と記された。
改正法は若年層の政治参加を目指し、今年3月に与野党6党などが共同提出した。ただ、これまでの国政選での20代の投票率は全体を大きく下回っており、投票率の向上につながるかは不透明だ。国会審議では、学校教育を通じて若者の意識を高める主権者教育の重要性を指摘する意見が続出。副教材の作成・配布や、校内での「模擬投票」実施も検討されている。
国立国会図書館の08年の調査によると、世界189カ国・地域のうち170カ国・地域で18歳までに選挙権が付与されており、提出者の自民党の船田元(はじめ)憲法改正推進本部長は「世界的すう勢だ」としていた。
改正法は速やかに公布される見通しで、その後1年間の周知期間を経て施行される。制度の大きな変更である上、選挙人名簿登録などの準備作業に時間を要するためだ。19日の閣議で公布された場合、来年6月20日以降に公示される参院選で18歳選挙権が初適用される。投開票が日曜日だとすると「6月23日公示・7月10日投開票」が最も早い権利行使のスケジュールとなりそうだ。投票日までに18歳を迎える人に選挙権が与えられる。
ただ、公選法は参院選の投票日を「任期満了の前30日以内」と定めており、投票日が「6月26日」や「7月3日」となると、公示日が改正法施行前の6月9日や16日となる可能性があり、新たな権利の行使は先延ばしとなる。
◇改正公職選挙法<骨子>
・衆院選、参院選、地方選の選挙権年齢などを「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げ
・公布から1年後に施行
・18歳以上の未成年者が連座制の対象になる重大な選挙違反を犯し、選挙の公正確保に重大な支障を及ぼす場合は原則として検察官送致(逆送)
・民法、少年法などの成年年齢引き下げも検討し、法制上の措置を講じる
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